合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
拒絶(六)
「変ではないかもしれないが、普通の貴族だったら魔物と聞くだけで嫌悪感を表すだろう。ましてや、それを調理しようなんて思いつきもしないさ。ソフィアはどうして調理しようなんて思ったんだ?」
急にグレンが真顔に戻る。ただの質問のようで、それでいて他の何かを探るような感じだ。
「食糧問題を考えたときに、肉っぽいものなんて魔物以外には思いつかなかったからよ。もちろん、食べられるかどうかは、半信半疑だったけど。でも実際に、冒険者たちの中にはすでに食べている人がいる方が私は驚いたわ」
「ま、冒険に出てれば食糧問題はどこまでも付いて回ることだからな。前に騎士団の遠征について行った時に食べた携帯食のまずいことと言ったらないさ。毎日あれを食べるくらいなら、魔物でも何でも焼いて食べたくなる気持ちも分かる」
キースの出した助け舟に、グレンは眉を顰める。
元々とても頭の良いグレンは、私たちのことを何か気付いているのかもしれない。
それならば尚更に慎重にならないと。
「そんなにまずいのですか、携帯食って」
「あれは確かに砂か、石を食べているような感じですね」
保存のきく携帯食というくらいだから、乾パンみたいなものなのだろうか。