合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
拒絶(八)
引きつらないように、上手に笑う。
これはキースが私のために選んでくれたもの。
そう言い聞かせているのに、ズキンズキンとどこかが痛む。
手を伸ばして受け取らなければと思えば思うほど、体が固まったように動かない。
痛みで世界が占められたように、音も消えていった。
それでも箱に触れようとした私の手を、立ち上がったグレンが掴む。
その瞬間、私の中の世界が音を取り戻した。
「顔が真っ青だ」
もしグレンが止めてくれなかったら、私はどうしていたのだろう。
どんな顔で、どんな思いでこの箱に触れようとしていたの。
「……気持ち悪い」
精一杯の言葉を絞り出す。言い終えると、強烈な吐き気と共に、世界がぐにゃりと歪んだ。
「ソフィア」
「誰か、すぐに宮廷医を」
遠のく意識の中で、二人の叫ぶ声だけを聞いていた。