合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(前)(四)
「この石はキース様の瞳の色ですね」
「ああ。こういうのは、自分の色の付いたものを贈る方が喜ぶと言われて」
ミアにそうアドバイスをされたのだろう。
なんでなのだろう。
ミアは私を嫌っているはずなのに、このプレゼントはちゃんと選ばれている。
派手ではない装飾も、キースの瞳の色の石も、全て私の好きなものだ。
「……」
「ソフィア、やはりこれはやめておこう」
「いえ。そうじゃないんです。むしろびっくりするくらい、私のこと分かってるなって、少し感心しただけです。キース様、付けて下さいますか?」
「ああ」
付けると、その小さな石がキラキラと胸元で輝いて見える。
ただそれだけで、キースが側にいてくれるような安心感があった。
「ルカ、キース様をお父様の元へ案内して。私はミアに会ってくるわ」
「畏まりました。あとでミア様のお部屋にお茶をお持ちさせていただきますね」
「ええ、お願いね。ではキース様、また後で」
「とにかく、無茶なことだけはしないでくれ」
「はい、もちろんです」
ルカがキースを連れ、父の元へ向かったのを見届け、私は一人ミアの部屋へと向かった。