合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(前)(七)
答えが分かっていながらも、あえてミアに尋ねる。
「わたしが……朝早く領地を出発したから、きっと行き違いになってしまったのだと思うわ」
視線を合わせることなく、ミアが答える。
ミアは何度か視線を動かしティーカップに手をかけてみたり、離してみたりと落ち着きがない。
まさかグレンが自分を追いかけて領地まで行くなどと、思ってもみなかったのだろう。
その挙動不審な態度は、嘘を付いてますと言わんばかりだ。
「ミア、このお茶どうしたの?」
ルカはミア付きの侍女がいないから、あとで茶を持ってきてくれるといっていたのに、すでに私たちの前にはティーカップに注がれたお茶が湯気をたてている。
まだ淹れたてらしいそのお茶は、何かが私の中に引っかかった。
「こ、これは、わたしが姉さまのために淹れたものですわ。せっかく淹れてみたので飲んでくださいな」
見たところは本当に普通のお茶のようだが、ミアがわざわざ私のためにお茶を淹れるなんて。
「でも姉さま、ホントに風邪で倒れたのですか?」
「ええ、もちろんよ。変なこと聞くのね、ミアは。そうだ、これ、ありがとう。キース様から頂いたわ。私のためにあなたも一緒に選んでくれたなんて、私うれしいわ」
にこりと笑いながら、身に着けたペンダントをミアに掲げて見せる。