合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

合わせ鏡の呪縛(中)(二)


「それはそうだが、あの毒がもしティーカップの方へ入れられていたら、君は命を落としていたかもしれないのだぞ」

「そうみたいですね……。でも現実には、毒はティーポットに入っていた。そしてそれをミアも飲もうとしていた。ミアは、あれが、ティーポットに入れられたものが毒だとは知らなかったのではないですか?」


 そう、これは私の願いでもある。

 思いたくなどなかった。

 たとえどんな理由であったとしても、あの子が私を殺そうとしたなんて。


「例えそうだっただとしても、あの毒をポットに入れたのはミア自身であり、君に危害を加えようとしていたことには変わらないんだよ。こうなる前に止めたかったのに、遅くなってすまない、ソフィア」


 蒼白な顔をしながら、グレンが部屋に入って来る。

 その手には、紙が握られていた。

 グレンはそれ以上なにも言わず、その紙をそのままキースへと差し出した。


「これは……本当のことなのか、グレン」

「グレン、私にも教えて。キース様、そこには何が書かれているのですか?」


 キースは首を横に振り、受け取った紙はくしゃりという音を立てながら形を変えていく。
< 182 / 211 >

この作品をシェア

pagetop