合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
作り物の笑顔(四)
頬杖を付きながら、教室の窓から校庭を眺める。
ちょうど瑞葉のクラスは外で何かの授業だったのか、日差しを避けるように顔に手を当てながら校舎を見上げる瑞葉と視線がぶつかる。
しかしわたしに気付いたのか、瑞葉はすぐに視線を外した。
「ねえ、瑞希、夏休み瑞葉ちゃんって何してるって言ってた?」
授業は終わっていたのか、隣の席の子が声をかけてきた。
そしてわたしを囲むように数名の女子たちが集まってくる。
「ん、瑞葉? どうして? たぶんいつも通り、町立の図書館にいると思うけど」
「そーなんだ。じゃ、そこに行けば会えるね。勉強教えてもらおうと思って」
「えー、一人だけ抜け駆けなんてずるいよ。私も教えてもらいたーい」
どうやらこの子たちは明日からの夏休みの過ごし方についての話をしているようだ。
わたしは今高校二年の夏であり、早い子はもう受験勉強が始まっているから。
「え、でもなんで瑞葉なの? あれだったら、わたしも教えるよー」
「いいよ、いいよ。だって瑞希、夏休みは部活とかもあるでしょ。秋で部活も卒業だもんね。邪魔しちゃ悪いし」