合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
自己肯定感(六)
階段を下りきる前に、客間から旦那様が出ていらっしゃいました。
どこか気落ちしたような、そして怒っているような表情をしています。
走っていたことがバレてはいけないので、わたしは立ち止まり端に寄ります。
「ん、お前は確かソフィア付きの侍女だったな」
「はい、ソフィア様付きの侍女、ルカにございます」
「少し話がしたい。私の部屋へ来なさい」
「はい、旦那様」
侯爵様は、城で外務を担当されております。
そのため、この屋敷にお戻りになることはあまり多くなく、城と他国との交渉などでとても忙しい方です。
なのでわたしのような者が声を掛けられること自体、初めてのこと。なんだかとても、落ち着きません。
しかし侍女たるもの、それを顔に出してはいけないと教わりました。
旦那様は執務室へ入ると、ドアに鍵をかけるように言いつけられました。
おそらく誰にも聞かせられないお話なのでしょう。
旦那様は椅子に座り、深いため息をつきました。いつもより表情は幾分か暗く、眉間にはそれはそれは深いシワがあります。
「ソフィアから、そなたには何か言われたか?」
「いえ、ソフィア様はお部屋に戻り次第、しばらくお一人になりたいとだけ」
「落ち込んでいたか?」
「おそらく……。あのように取り乱すソフィア様はお仕えさせていただいて以来、初めてお見受けいたしました」
「そうか……。やはり、落ち込んでいたか……」
「あの、何があったのかお聞きしてもよろしいでしょうか」
どこか気落ちしたような、そして怒っているような表情をしています。
走っていたことがバレてはいけないので、わたしは立ち止まり端に寄ります。
「ん、お前は確かソフィア付きの侍女だったな」
「はい、ソフィア様付きの侍女、ルカにございます」
「少し話がしたい。私の部屋へ来なさい」
「はい、旦那様」
侯爵様は、城で外務を担当されております。
そのため、この屋敷にお戻りになることはあまり多くなく、城と他国との交渉などでとても忙しい方です。
なのでわたしのような者が声を掛けられること自体、初めてのこと。なんだかとても、落ち着きません。
しかし侍女たるもの、それを顔に出してはいけないと教わりました。
旦那様は執務室へ入ると、ドアに鍵をかけるように言いつけられました。
おそらく誰にも聞かせられないお話なのでしょう。
旦那様は椅子に座り、深いため息をつきました。いつもより表情は幾分か暗く、眉間にはそれはそれは深いシワがあります。
「ソフィアから、そなたには何か言われたか?」
「いえ、ソフィア様はお部屋に戻り次第、しばらくお一人になりたいとだけ」
「落ち込んでいたか?」
「おそらく……。あのように取り乱すソフィア様はお仕えさせていただいて以来、初めてお見受けいたしました」
「そうか……。やはり、落ち込んでいたか……」
「あの、何があったのかお聞きしてもよろしいでしょうか」