合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

婚約(六)


 この世界には消費税というものは、存在しない。

 そう考えると、取り立てといっては人聞きが悪いが取れるところは、まだあるはずだ。

「あとは、税を納めていない教会などにも一部納税義務を設けたり、冒険者ギルドや商会からも税を取るの」

 冒険者ギルドや商会は、設立する時にはお金を国に払うものの、法人税のようなものはない。

 この前、ルカから冒険者になるにも手数料としてお金がかかると教えてもらった。

 また依頼主からも、何パーセントかの手数料を取っているのだ。

 そう考えるとただの仲介業者にしては、いい儲けだと思う。

「教会は難しいかもしれないが、冒険者ギルドと商会ならなんとかなるだろう。それに、商会へ言えば店舗からの税を取ることもさほど難しくないと思う。初めは反発もあるだろうが、何かその分の優遇策や見返りさえあれば大丈夫だろう。これは、いい案だな」

「お褒めいただき、ありがとうございます、キース様」

 にこやかに言葉を返すと、先ほどまで前のめりで話を聞いていたキースはソファーに深く背を預ける。

 そして両手で顔を覆い、何やら考えているようだった。

「キース様?」

「グレン、俺の負けだ」

「だから言ったではないですか。いい加減、腹を括るべきだと」
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