廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
なにか解決策がないかと必死で頭を捻っていると、突然馬車の動きが止まった。
外から微かに人の声がする。
私は耳を澄ませ、内容を聞き取ろうとした。

「どうもお疲れ様です。なにかあったのでしょうか?随分と物々しい警備ですが」

しゃがれ声……これは老人だ。
なにかあったのですか?なんて白々しい。
全部こいつらのせいなのに!
と、樽の中で憤慨した私は、次の瞬間ハッとした。

「何があったかは言えないが、非常事態だ。検問に協力をしてくれ」

軽く弾むように高い声。
今は少し固めの印象だけれど、この声はランス。
ということは、ダリオンも近くにいるかもしれない!

「もちろんです。さぁどうぞ。樽の中身は酒場や食堂へ卸す香辛料や塩、砂糖でございます」

「よし。中を改める!」

ランスが叫ぶと、馬車の中で誰かが動く音がした。
樽に閉じ込められてから、周りの状況は全くわからない。
でも、数人がガサゴソと馬車を降りた気配がしたから、奴隷商人の男たちが側にいたのだ。
バサッと布の音がして、次にギッと馬車の軋む音がする。
暫くして、慌ただしく数人が馬車の中を動いている音がした。
出口に一番近い樽が調べられてるのかもしれない。
私とローリーが詰められている樽は最奥。
セドリックが捕まっているのなら、彼もこの近くの樽だと思う。
出口の方は念入りに調べても、奥は入り込めないので、簡単に調べて終わりという可能性が高い。
< 187 / 228 >

この作品をシェア

pagetop