廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
エピローグ
1、転生王女と大英雄

東の大国、アルカディア。

私がここにやって来て、あっという間に半年の月日が流れた。

数々の部族からなる連合国家アルカディアでは、物事を決定するのに各地を治める族長たちの過半数の承認が必要である。
王女として認知されるにも彼らの承認が必要だ。
広大なアルカディアに散らばる族長たちの承認を得るのに、結局半年の月日を要したのである。
しかし、待った甲斐はあった。
族長たちは「全員一致で承認」してくれたのだ。
個性が強すぎて、なかなか足並みの揃わないアルカディアで、これは初の出来事だという。
承認されるまでの間、私とシルヴェスター陛下はたくさんの話をし、思い出を共有した。
母シエナの生誕地であるグウェイン族の集落跡地や墓所を訪れ、二人で手を合わせた。
まるで答え合わせをするように過ぎて行く時間は、私と陛下の時間の溝をゆっくりと埋めていく。
そうやって関係を深めるうちに、私は陛下のことを「お父様」と自然に呼べるようになっていた。
その「お父様」は、今、私の部屋で憂鬱な表情を浮かべている。
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