廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「ユグリスの配下の者が来るらしい。てっきりあいつが来るかと思ったのだが、悪巧みで忙しいらしくてな。今回は見送るそうだ」

「悪巧み……あら、ひどい言いようですね。でも、わかります!」

「だろう?なにかしらいつも策を練っている奴だからな」

お父様は不敵に微笑んだ。
でもそれを言うなら、大胆かつ緻密な作戦で、フェルナンシア王家を打倒したお父様も、負けてはいないのでは?
きっと、似た者同士だから友達になれたのね。

「お待たせ致しました。陛下、ルキア様、お茶をどうぞ」

私たちの前に、エレナがいい香りのお茶を置く。

「ありがとう。君も長い間ご苦労だったね」

「いいえ、ルキア様に付き添わせて頂き、これほど光栄なことはありません!」

お父様の労いに、エレナは力強く断言した。

「これからもルキアを頼む。彼女は私の宝だからね」

「はい、もちろん身命を賭して励む所存ですわ!陛下の目が届かない場所では、私どもエスカーダのメイド一同にお任せを」

「うん。頼りにしている」
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