廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「なるほど……それはそうかもしれませんね」

ミレイユが腕を組み、真剣な顔で頷く。
その意外な様子に全員が笑った。
だって、ミレイユが洋裁以外のことで真剣な顔をするのは、真夏に雹が降るようなものだからだ。

「ふふっ。まぁ、とにかく……皆が私の光を取り戻してくれたのよ。その想いに報いるために、これから以前のエスカーダ家の威光を取り戻そうと思っているの」

ん?それはどういうことかしら?
レグナントに来て間もない私には、おばあ様の言った意味が良くわからない。
しかし、エレナは顔を輝かせた。

「では、また王都で復帰されるのですね!?」

「ええそうね。私がずっと引きこもっていたせいで、社交界におけるエスカーダの地位は無いも同然です。ダリオンは大英雄などと呼ばれているけれど、政治に全く興味がない。駆け引きに長けた者が周りにいなくては、時代の潮流について行けなくなるでしょう」

「しかし、ユグリス殿下と仲がよろしいのでは?」

ローリーが尋ねると、おばあ様は少し難しい顔をした。

「ユグリス殿下は確かに頭が切れるわね。だけど、それが災いして敵も多い。いつまでも、ダリオンの周りに気を配れるかはわからないわ」

なんだか、わかった気がした。
おばあ様は、戦バカ(ごめんなさい)のダリオンのため、ひいてはエスカーダ家の未来のために力をつけようとしているのだわ。
ユグリス殿下とはとても仲良く見えたけど、きっとそれだけじゃ足りない。
大国レグナントだからこそ、貴族たちの足の引っ張り合いは多いはず。
なら、味方は多いに越したことはないわね。
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