廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
厳つい兜の下から流れ出る金色の髪。
少し紅潮した頬に、深いブルーの瞳が浮かぶ。
一騎当千の大英雄、その意外な容姿に息をするのさえ忘れてしまった。
だって……だって、この顔は。
前世で私が憧れたハリウッドスターと瓜二つ。
人気絶頂のなか、十八歳という若さでこの世を去った、俳優「ダニエル・ライト」にそっくりだったのだ。
ヤバい、目が離せない……好き。
その顔面に釘付けになっていた私に、形の良い唇が冷たく言った。

「私を見るな」

「あっ、申し訳ありません」

見られるのも嫌なの!?
理不尽だけど文句が言える立場じゃない私はすぐに目を逸らした。
だけど、目の保養になるその姿をもう一度見たい……いや、もう一度なんて言わず一生見ていたい。
そんな気持ちが沸々と沸き上がり、私はチラッとダリオンを盗み見た。
……見れば見るほどそっくり。
ああ、でもこんな素敵な人に奥さんがいないわけないわよね。
残念だけど人のものか、と考えてふと気づいた。
奥さんの姿が見えない。
戦から帰って来た夫を出迎えない妻はいないと思うけど?

「お婆様は別宅か?」

私が下世話な考えを巡らせていると、ダリオンが執事と話を始めた。
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