廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「はい。今日もお一人で……誰も来るなと仰せつかっております」

「そうか。ユグリス殿下からこの娘をお婆様の話し相手にと言われているのだが」

「左様でございますか。では、折を見て試してみましょうか」

執事は自信なさげにこちらを見た。
話の内容から「お婆様」というのがユグリス王子の言っていたカトレア様。
つまり、私はこのカトレア様の話し相手に選ばれた?ということらしいけど、どうやら彼女は引きこもりの上に、少し気難しい性格のようだ。

「期待薄だろうが、頼む」

「畏まりました。それで、あの、ダリオン様……」

執事は言いにくそうに続けた。

「お戻りはまた、一年ほど空くのでしょうか?」

「そうなるだろう」

ダリオンは素っ気なく答えた。
レグナントの大英雄であるからには、兵の強化や城の護りで多忙なのかも。
でも、執事やメイドたちはそれを喜んでいるようには見えない。
むしろ、悲しんでいるような……。
< 10 / 228 >

この作品をシェア

pagetop