廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「ルキア、私はね、ダリオンに意地悪しているわけではないのよ?それどころか、幸せになって欲しいから、あなたと婚約をさせるの」

「でも、私と婚約したってダリオン様が幸せにはならないと思うのですが」

「そんなことありません。あなたはきっとダリオンの心を救う。私にはわかるのよ」

真剣な目で、私を見つめるおばあ様。
茶化しているようでも、ふざけている様子でもない。
本当にそう思ってくれているんだ……と考えると、なんだか嬉しくなった。
私はなんの力もない。
彼が何を悩んで、何を拗らせていたとしても、それを解決するなんて出来ないと思う。
……だけど、もし、役に立たないとしても、ダリオンの迷惑にならないように、邪魔をしないように、立ち振る舞うことくらいは出来るかもしれない。
ここに置いてくれるおばあ様や、エレナたちが笑っていてくれるなら。
頑張れる……きっと。

「わかりました!私、少しウジウジしていたようですね!でも、もう平気です!ダリオン様の力になれるような婚約者を目指して頑張りますっ」

「ふふ。その意気ですよ」

おばあ様は満足して頷き、またお茶を口にする。
ローリーとミレイユも互いに顔を見合せ、ほっとしたように安堵の表情を見せた。

そうよね。
なるようにしかならないなら、気楽に気長にいくしかない。
私は私の居場所にいるために、がんばるのみなのだわ。
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