堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

3.思い出しました

 さて、エレオノーラはフランシア子爵家の長女であり、今年で十八を迎えた。兄は三人いる。
 学院はなんとか卒業したエレオノーラは、その卒業後は兄たちが所属する第零騎士団へと入団した。この第零騎士団の入団は、通常ルートではなく特殊ルート、での入団でしか受け付けていないという特殊部隊。その第零騎士団は、広報、諜報、情報の三部門から成り立ち、通常の騎士団業務からもかけ離れている。
 エレオノーラがこの第零騎士団に入団したのも、兄ダニエルからの推薦によるもの。つまり第零騎士団に入団するためには、現役の第零騎士団所属の騎士からの推薦が無いといけないのだ。それがないと入団試験を受ける資格すらない。
 そのダニエルだが、推薦というかプレゼンというか、むしろ脅しに近いような感じで「とにかく妹の変装術が素晴らしいから、諜報部に入れてくれ」というどストレートな理由で団長に言い寄ったらしい。

 そんな理由がまかり通って、見かけはなんとか現役騎士からの推薦あり、ということで。
 とにかくエレオノーラは第零騎士団の入団試験を受けることになった。この入団試験のときに、男装して行ったら(これもダニエルからの提案によるもの)、誰もそれがエレオノーラ本人と気付かず。面接時に名前を呼ばれたとき、返事をしたのは男装のエレオノーラ。面接官である第零騎士団及び他の騎士団の偉い人たちも五度見したくらい。声色も変えていたから、女性であることさえも見抜かれなかった。
 ということで、入団試験は見事合格。そして現在に至る。

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