堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 ジルベルトはエレオノーラを抱いたまま、別室へと向かった。

 そんなジルベルトをじっと見つめている男が二人いた。
 一人は国王。ファニタ王妃と話をしながら、楽しそうに彼の様子を見ている。この男は完全にジルベルトで楽しんでいる。
 そしてもう一人はグリフィン公爵。じっとりとまとわりつく視線は、ジルベルトとその婚約者を観察しているように見えなくもない。
 グリフィン公爵は、前王の弟の息子。つまり、現国王とは従兄弟同士に当たる。
 グリフィン公爵はジルベルトがこのホールを出ていくまで、じっとその姿を追っていた。それはまるで、獲物を狩るかのような、とても執拗な視線だった。


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