堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

23.デートの時間です

 ジルベルトは本当にデートに誘ってくれた。忙しい仕事の合間の貴重な休みを、エレオノーラのために使ってくれると言うのだ。その気持ちだけでも嬉しいと思っているエレオノーラ。だけど、デートに誘って欲しいと自分からお願いしてみたものの、貴重な時間を奪ってしまって申し訳ないという気持ちもあった。

「お嬢様、ジルベルト様がいらっしゃいました」

 今日のエレオノーラは、知的美人ではない。いつものエレオノーラを少しおしゃれにした感じ。それはジルベルトと約束したからだ。人目のつかないところでのデートであれば、変装する必要も無いから、と。
 ジルベルトが提案してくれたデートは、馬での遠乗り。これなら本当に人目につかない。だから、変装する必要もない。
 普段のエレオノーラであるが、その遠乗りのために、動きやすいドレスではなくゆったりしたズボンを選び、髪の毛も高い位置で一つにまとめていた。

「エレン。任務では無いからといって、はしゃぎすぎないように」
 出掛け間際に、ダニエルに念を押されてしまった。一体兄は、何を心配しているのか。はしゃぎすぎるとは何を指すのか。エレオノーラはいささか疑問に思ったが、ジルベルトを待たせているため、兄のそれにツッコミをいれるのはやめた。

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