堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「エレオノーラ・リガウン」
 答えたショーンは顔を上げない。
「だが、あいつが許すと思うか?」

「許すわけがないですね」
 ダニエルは即答する。そして乗り出した身を元に戻す。
「まあ、オレも許しませんが」

 そう、ダニエルはエレオノーラという妹を溺愛している。ダニエルだけではない。ドミニクもフレディも。それはリガウン家に嫁いだ今でも、変わりはない。彼らにとっては愛すべき妹なのだ。

「そこで、だ。文官や騎士団の中かから、語学が堪能な奴を探すことになってだな。どうやらレオンが陛下の目に留まったらしい。まあ、あれだろう。名簿を見て白羽の矢が立ったということだ」
 その騎士団の名簿。レオンは諜報部に所属するレオンとして名簿に登録されているが、名前以外の項目にはエレオノーラの能力が記載されている、はず。レオンでありエレオノーラであるから、能力などに嘘をかいてしまうと、それが噓であると知られてしまった時の対応が面倒くさい。だから、それとなくレオンでありエレオノーラの内容で登録していた。

「陛下は、エレオノーラとレオンが同一人物であることをご存知ないのですよね?」
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