堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「けど?」

「騎士団も人手不足なんだよね」
 深いため息と共にその言葉を吐いた。

「そうなんですか?」

「そうそう。特に第零なんて、特殊過ぎて人がいない」

「それは、そうですね」
 しかも、現役騎士からの紹介が必要である、他の騎士団とは入団条件も異なる。

「だからさ。今、エレンに抜けられると、非常に困るんだよね」
 それは第零騎士団に所属している者たちなら思っていること。特に諜報部にとって。エレオノーラというかレオンがいつ辞めてしまうのか、と。一番、冷や冷やしているのはショーンかもしれない。

「はい」

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