堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「兄さんがさ、ウェンディとの結婚をためらっている原因の一つだよね」

「え。そうなんですか?」

「そうだよ。特に女性騎士は貴重だからね。結婚しても続けている人なんて、ほんの一握り。その一握りも、子供を授かったらやめてしまうからね。まあ、騎士の代わりはいても母親の代わりはいないからね。だけど、その騎士の代わりがいないっていうのが問題なんだよね」
 ドミニクは腕を組んで、うーんと唸った。
「広報部として騎士団の祝い事とかも扱っているけど。やっぱり、おめでたい話はおめでとうって心から言いたいね」
 それは彼の本心だろう。

「そうですね」

 ドミニクの話を聞いてエレオノーラは考えてしまった。ジルベルトとの間に子供を授かったら、自分は騎士団を辞めなければならないのだろうか。
 また、難しい問題が浮上したと思うエレオノーラだった。
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