堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 そう声を発したのは倒れたままのフレドリック。

「はい。ですから、あなたたちを拘束します。フレドリック・ホワイト子爵」
 廊下からバタバタと複数の足音が聞こえてきた。ドアは乱暴に開く。
 その扉の向こうから現れたのは、この国バーデールの騎士たちだった。

「なぜ、こんなに? 今日は王宮でパーティがあるから、警備が薄れると思っていたのだが」
 起き上がることのできないフレドリックは、逃げることもできず床に仰向けに倒れたままだ。

「ええ。そう思わせるための作戦ですからね」
 腕を組み、そのフレドリックを見下ろすエレオノーラは、ドレス姿とは一味違う妖艶な美女に見える。いや、美丈夫にも見える。

 バーデールの騎士団たちの後ろから姿を現したのはドラギラ国の騎士団の服に身を包むドミニクと、それからジルベルト。
 彼もどこかで着替えたのだろう。髪型もいつもの通りだ。

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