堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「リガウン侯爵、エレン、耳を」
 フレディが言う。急いで二人はフレディから渡された耳栓をした。それと同時に彼は怪しげなものをまた取り出す。なんだろう、あれは。フレディがそれを適当にいじりはじめると、前方と後方にいた男たちがいきなり耳を塞ぎ始めた。フレディに視線を向けると、今だ、やれ、と口をパクパクさせたため、エレンが後方の男たちを、リガウン侯爵が前方の男たちの急所を的確にとらえた。彼らは、全員床に這いつくばっている形となる。
 そしてエレオノーラとリガウン侯爵は、その男たちの両手両足を丁寧に縛り上げた。
 手をパンパンと叩いてから、エレオノーラは耳栓を外す。

「それで、フレッドお兄さま。それは何ですか?」

「これ? 不快な音を出す装置」

「不快な音?」
 エレオノーラが尋ねると、聞きたいか? とフレディが楽しそうに言うので、それは丁寧にお断りすることにした。

< 514 / 528 >

この作品をシェア

pagetop