花笑ふ、消え惑ふ
どこか吹っ切れたような総司に、流はおずおずと自分の所在を尋ねた。
「あ、の……?わたし、どうしたら」
「そんなのぼくに聞かれても知らないよ。そこのご主人さまに聞いて」
ご主人さま、と呼ばれた土方はふたりの会話など気にも留めず先を歩く。
が、ふいに足を止めたかと思えば流のほうを振り返ってきた。
「お前の名前はなんだったか」
「“ながれ”です。流れるって書いて、流」
「そうか、流」
向けられたのは、冷たくて、触れただけでも斬れてしまいそうな瞳だった。
土方が薄い唇をひらく。
お前がしっかり生きたら
誰にも恥じねえ生き様を
俺に見せたら
……そのときは褒めてやるよ