花笑ふ、消え惑ふ





流はおそるおそる目をあけた。

向けられた刀はもう目と鼻の先まで迫っていた。


寸前で止まっているのは、それまでずっと黙っていた男が、刀の柄を上から押さえ込んでいたからだ。




「あのねえ土方さん、これ公務執行妨害なんですよ」


総司と呼ばれた男は気怠そうに、土方と呼んだ男に視線をやった。


どこかで聞いたことのある名前だ、と流は思う。だけどとっさに思い出すことができなかった。


突然の出来事になにもできないでいると、土方のこちらを見おろす視線とかち合った。




「お前はどうしたい?」

「……え?」

「生きたいか?それとも、死にたいか?」


答えられないでいると、舌打ちをして促される。



「てめぇに言ってんだよ。答えられねーのか?」


流は迷ったあと、ちらりと土方を見あげた。


────本当に言ってもいいのかな。


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