溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「……悪い、やりすぎたか?」
あまりにも私が苦しそうだからか、優吾さんは私の背中に手を回してトントンと優しく叩いてくれる。
それに"大丈夫"という意味を込めて数回無言で頷いた私。
「悪かったよ。つい紅葉が可愛い反応するから、止まらなかった」
そう言って頬に落ちてきたキス。
起きあがろうとするものの抱き締められてしまっているため上手く力が入らずに、しばらくその胸を借りる。
次第に背中に感じる一定のリズムとムスクの香りが私の眠気を誘い、一睡もしていなかったため私の瞼がどんどん重くなっていく。
「……紅葉?眠い?」
コクリと小さく頷くと、優吾さんは
「いいよ。無理させて悪かった。このまま寝な」
と笑う。
抗えない睡魔に頷いた時、なんだか身体がふわりと浮く感覚がした。
「……え……?」
「ソファじゃゆっくり眠れないだろ。ベッド使って」
そんな、いいです!
頭ではそう言っているのに、睡魔により実際に口から何も言葉が出てこない。
おそらくそんな私の葛藤がわかっているのだろう。
「何も気にしなくていいから。それより、俺も一緒に寝ていい?」
返事をするより先に私は限界が来て、意識を失う。
ふわっ……と。私をベッドに優しく置いた後、隣に寝転がった優吾さんが幸せそうに私の寝顔をじっと見つめていたことにも、
「……惚れさせるはずの俺がどんどんハマってどうする」
楽しそうな声にも、全く気が付かなかった。