溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「……本当に一緒に入るんですか?」
「もちろん。おいで」
「でも、恥ずかしいです……」
「大丈夫。俺あっち向いてるし、タオル巻いてきていいから」
「……」
夕食後。一人でお風呂に向かおうとした私は見事に優吾さんに後ろから抱きしめられ、そして何も聞かされぬまま脱衣所に連行された。
そこで"せっかくだから一緒に入ろう"と誘われて今に至る。
もちろん、海側に面したお風呂を見た時からこの可能性を考えなかったわけではない。
考えていたからこそ、実際に誘われるとすごく恥ずかしくて動揺してしまった。
だって、絶対にただお風呂に入るだけじゃ終わらないと思うから。
とは言え楽しそうに窓越しに外を眺めている優吾さんをこのまま放置するわけにもいかず、腹を括って服を脱いでタオルを巻く。
「お、お待たせしました……」
「ん。入って」
まだ向こうを向いてくれている優吾さんに促されて、隣のシャワー室で軽く身体を流してから湯船の中に足を入れた。
タオルを取って全身が浸かった時、「そろそろそっち向いてもいい?」と言われて慌てて私が後ろを向いた。
「ははっ、なんでそっち向いてんの。こっちおいで」
「だって……」
「じゃあ俺が行く」
優吾さんは私の後ろからそっと腕を回し、海の方へ身体の向きを変えると私があまり恥ずかしくないようにと器用に足の間に座らせた。
「あったかい……」
「あぁ。暗いからあんまり外は見えないけどな。ここは昼間の方が良さそうだ」
「ですね。お昼は絶景だと思います」
すでに日が落ちてしまった窓の向こうは、先程までの雄大な景色はもう隠れてしまっていた。
朝風呂なんかは最高に気持ち良いだろうと思う。