オトメは温和に愛されたい
***

 ふたりでファミレスデートをしてからの、帰りの車中。

「お腹一杯だね~」

 温和(はるまさ)のほうを見つめながらお腹をさすりさすりそう言ったら「食いすぎなんだよ」と笑われた。

「だって、期間限定フェアのデザートが美味しそうだったんだもんっ」

 普通初デートと言ったら、もっともっと緊張して、飲み物も喉を通りません!っていう状態なのかもしれない。

 でも、私と温和(はるまさ)は幼なじみ。
 小さいころから一緒にご飯を食べたりしていた仲だから。
 今更取り繕っても、って思った私は、“いつも通り”でいくことにしたの。


 「何にする?」ってメニューを渡されれば、「えっとね」って好きなものを頼んだし、「デザートとか食わなくていいのか?」って聞かれたら「じゃあ」ってページをめくっちゃう。

 結果、明らかにいつもより食べすぎちゃって、お腹一杯になってしまった。


温和(はるまさ)だって結構ガッツリ食べてたじゃない。なのに何でそんな平気そうな顔してるの? 苦しくないの?」

 言えば、「俺は男だからな」っておかしくない?

「食欲に男も女もないもん」

 ぷっと頬を膨らませてそう言ったら、「体の大きさに男女差はあるだろ」って言われて。
 ついでのように、「それに俺、夕方に飲むヨーグルトとか飲んでねぇし」って意地悪く言って私を黙らせるの。

温和(はるまさ)の……馬鹿っ」

 拗ねてそっぽを向いてそう言ったら、「けど俺、お前のそういうところも悪くねぇと思ってるから」って……不意打ち。
 可愛い、とかストレートに褒めるんじゃなくて婉曲させるところも含めて……ずるい。
< 199 / 433 >

この作品をシェア

pagetop