オトメは温和に愛されたい
 温和(はるまさ)川越(かわごえ)先生に出会いませんように、と祈りながらいそいそと職員室に降りたら、入り口のところに置かれた勤務管理のパソコンがふと目に入った。

 見るとはなしに画面を見ると、今日は温和(はるまさ)川越(かわごえ)先生もまだ勤務中の青色表示で……。

 気にしない、と決めていてもその表示に気持ちホッとしたのも事実で。

 あー、駄目駄目。
 切り替えなきゃ。

 ふるふると頭を振ったところで逢地先生(なっちゃん)がすでに退勤になっているのに気が付いた。
 そういえばなっちゃん、帰りに鶴見(つるみ)先生のお見舞いに行かないといけないって言ってたっけ、とふと思う。
 自分がゴタゴタしていてまだ行けてないけれど、私も近いうちに温和(はるまさ)鶴見先生(かれ)のお見舞いに行かないとなぁとぼんやり考えてから、ハッとする。
 わーい! 私、今日はちゃんと温和(はるまさ)と、って思えたよ?


***


 自席に行ってパソコンを手に顔を上げたら、ちょうど職員室に入ってくる川越(かわごえ)先生が目に入った。
 てっきり温和(はるまさ)も一緒だと思っていたら、どうやら彼女おひとりみたいで、ホッとするのと同時に「あれ?」と思う。

 そのつもりはなかったけれどじっと見てしまっていたのか、傍まで歩いてきた川越先生にクスッと笑われてしまった。
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