オトメは温和に愛されたい
「お兄ちゃん……じゃ……ダメ、なの?」

 私、転びそうになったドキドキで、身体が小刻みに震えている。
 力が入らなくて自分の足でしっかり踏ん張れないから、どうしても温和(はるまさ)に身体を預けたままになっていて。
 それでもどうしてもその言葉だけは聞き返したくて。

 私は恐る恐る、彼の腕の中で身じろぐようにして背後の温和(はるまさ)を振り返った。

「ねぇ、ハルに……、っ」
 ハル(にい)?という呼びかけは半ばで強引に(はば)まれた。

 え? ちょ、ちょっと待ってっ! わ、私、今、温和(はるまさ)に……っ!?


***


 温和(はるまさ)の落とす影が自分から遠ざかって、やっと……。

 私は、彼に唇を塞がれたんだ、と認識した。

 温和(はるまさ)の手が緩んだのでよろめくように彼から一歩離れて

「えっ、あ、あのっ……今の……っ」

 無意識に唇に手を触れて、温和(はるまさ)を見つめながら言葉をつむごうとしたら――。

「ザマァ見ろ」

 と舌を出された。


 えっ? ――どういう、意味……?
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