リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「私の恋を知って欲しい、か」

「私たちには関係のない花言葉ですね」

「うん。そうだな」

「でも、私はこの花が花の中で一番好きです。繊細に見えてたくましいところも、花言葉も含めて」

「あぁ、俺もこの花は結構好きだよ」

先輩は丁寧に水やりをしながら答えた。


そんな先輩を横目で見て、

「あっそういえば、先輩の一番好きな花ってなんですか?」

こんなに一緒にいたのに、今まで聞いたことなかったなあ。

ふとそう思って聞いてみた。


「今はやっぱりスミレかな」

先輩は恥ずかしげもなくそう答えた。


ずっと花を見ていた先輩と急に目が合って、
一瞬、時が止まったみたいだった。
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