リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「なんでここに?」

「あっ、花の様子を見に来たんです。気に入ったんです。このリナリアって花」

先輩に会いに来たとは言わなかった。

この距離を大切にすればいいんだ。

「俺も同じ。美化委員の活動、今日はないんだけどね」

そう言って先輩は花壇の前にしゃがみ、愛おしそうに花を見つめた。


「……南先輩、美化委員の活動、何曜日なんですか?」

「ん?火曜だけど?」

「毎週火曜日。私も一緒に活動してもいいですか?」

迷惑じゃないだろうか?

こんなこと言ってもいいのだろうか?

なんてことはこれっぽっちも考えずに、衝動的に口に出していた。


「えっと……、ずいぶん急だね」

「……ははっすみません」

自分自身に苦笑い。


「別にいいけど、手伝ってくれても何も出ないよ」

物目当てなわけないじゃないですか、南先輩……
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