リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「でも、リナリアって花、初めて知りました。可愛い花なので覚えておきます」

彼は丁寧に、ジョウロで花に水をあげながら続けた。

「制服がまだ新しいみたいだから、一年生?」

見ていないようで、よく見てる。すごい分析力。

「はい、一年です」

「じゃあ一個下だ」

そう言って、また笑顔を向けてきた。

切ない横顔からの笑顔というギャップにやられたのか、さっきよりも胸がドキドキしてる気がする。


もしかして私、一目惚れした?


「……先輩、ですね」

「だね。後輩ちゃん」

ドキドキ高鳴る胸の鼓動。目が合って気づいた。


……私、本当に先輩に一目惚れしたんだ。


——つまり、恋に落ちたんだ。
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