リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「よし!花の手入れ終了!」

先輩はそう言って立ち上がり、少し伸びをした。

辺りはちらほらと登校してくる人が見えていた。


「どうした?後輩ちゃん」

胸のドキドキを抑えるのに必死で、固まってしまっていた私に先輩は話しかけた。 


「……なんでも、ないです」

先輩は少し不思議そうにしていたけれど、

「そう?早く教室行きな。もうすぐ八時になるよ」

それだけ言って私に背を向けた。

私は去っていくその背中を、恋に落ちたせいなのか、ぼーっとする頭で見えなくなるまで見続けていた。


家に帰ってからも次の日学校へ行く途中も、先輩の横顔が、笑顔が頭から離れなかった。
< 7 / 123 >

この作品をシェア

pagetop