俺の好きにさせてください、お嬢様。




「っ、」


「…髪、伸びましたね」


「う、うんっ」



サラッとすくってくれる黒髪。

毎朝ヘアアレンジをしてくれて、ブローだって毎夜してくれる。



「ハヤセは……金髪とかにしないの?」


「…俺は早乙女ではありませんから」


「うんっ!ハヤセはハヤセ!」



その黒髪すっごい似合ってる。

ハヤセって言ったら黒だ。

それで妖艶な眼差しで、闇に溶けちゃいそうな人。



「───エマ、」


「わっ、」



ふわっと抱き寄せられた。


ハヤセが目の前にいることで、食堂の入り口からは隠されてる状態。

だから万が一生徒が来たとしてもギリギリ誤魔化せる。


ほら、さすがはSランク執事。



「ハヤセだいすきっ」


「…もう1回」


「大好き!世界でいちばんっ」



満足そうに微笑んだハヤセ。

ちゅっとおでこにひとつ、頬にひとつ、甘い甘いキスが降ってきて。

へへっと笑ってみれば、後頭部に回った手がいとおしそうに髪を撫でてくれる。


よしっ、このタイミングならいけるっ!!



「ハヤセっ!やっぱりスカートだめ?あのねっ、かわいい姿をハヤセに───」


「駄目です」


「……」



独占欲も、200%。



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