俺の好きにさせてください、お嬢様。
「理沙お嬢様、本当に佐野様でよろしいのですか…?」
「……どういう意味よ、」
「あっ、いや!理沙お嬢様ならもっと佐野様以上に相応しい方がいらっしゃるのではと思いまして…!」
珍しい、いつも私にペコペコ頭を下げているような碇が意見を述べてきた。
あなたも誰かに流されたっていうの…?
そりゃそうよね、私たちの近くにはいつもタブーを平気で犯してる2人がいるから。
でも幸せそうなのよね…。
お嬢様と執事もナシじゃないって思わせられるんだから、いい加減にして欲しい。
「もう決まってることでしょ。今さら破談なんかにしたら、それこそ九条の顔が立たないわ」
「…そう…ですが、」
「碇、バカエマはいろんな意味で特殊よ?あれが普通だと麻痺しちゃダメなの。
スタ女の生徒である私たちは、これが普通なんだから」
そう、エマは特別。
こんなわがままなお嬢様と友達になっちゃうくらいなんだもの。
身分やお金や自慢を出さずに他愛なく会話ができたのは、エマが初めてだった。
「わ、私はっ、それでも理沙お嬢様には笑っていて欲しいです…!!」