俺の好きにさせてください、お嬢様。




おじさんでも嫌っ!!オネェさんも嫌っ!!

ハヤセにキスするのはわたしだけじゃないとだめなの……!!



「……帰りましょうエマお嬢様」



ゴシゴシとほっぺを拭って、ハヤセは無理やりにもオカマさんの集いから抜けてきた。

ぐいっと手が引っ張られて気づけばホテルに戻って。


他のクラスメイトや執事はまだ帰ってないみたいだ。

それか温泉に入ったり、夕食を食べたりしてるのかも…。



「わっ…!」



すぐにぎゅうっと抱きしめられた。

怒ってる……?

わたしのせいでオカマさんにキスされちゃったもんね……?



「ん…っ、ハヤセ…?」


「…消毒です」


「んん…っ!」



消毒…?

それってわたしがよくハヤセにしてもらってたやつ…?

今日は反対みたいだ。


わたしで塗り替えるように、何度も何度もキスしてくる。

けど、オカマさんにされた場所がほっぺで良かったぁぁぁっ。



「ハヤセ、わたしのキスって下手…?」


「……どうしてですか?」


「オカマさんのほうが上手だった…?」



キスに上手も下手もあることを初めて知ったけど、そもそも考えたこともなくて。

けどハヤセのキスは腰から砕けちゃうくらい、とろけるようなものだから。


たぶんハヤセは上手ってことだ。



「上手い下手以前に、エマお嬢様は不慣れで必死なところが可愛いのです」


「でもっ、オカマさんのほうがいい…?」


「んなわけねえだろ」


「わわっ!んっ…!」



そんなちょっと変わった(?)修学旅行になりました。



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