僕は、空の上から君を見守る
「今だ!土を入れて下さい!」

川の両岸から
積み上げてあった土を男達が総出で一気に入れる!

〈作戦 3〉土で埋め立てる
岩や枝では完全に止める事の出来ない水の流れ。
強度からいっても
地引網で塞き止めている水は
すぐにその流れの重みに負けてしまう。
そこへ土を流しいれる事で
岩や枝などに土が混ざり完全に塞き止める。

「うぉぉぉい」
掛け声のような野太い声が
合唱のように合わさり同時に響く。
ズザーーー!
大量の土は地引網にひっかかっている
岩や枝にと混ざり合い
一気に地引網の網目が見えなくなる。

そして、川の水は元の流れている水流へと戻っていった。

石や、岩が流されてしまう水流。
土を入れてもすぐに散ってしまう。
そんな作業を繰り返していた
漁師達。
さらに、脇にある一本の木。
それを組み合わせて導き出した答え。

その閃きもさることながら
それは元々ルーホーが天上人でありながら
川や土、木々や漁師達の漁の風景まで
興味を持ち知っていたから
成せた事であろう。


「やったぞーーー!」
場が歓喜に湧く。
パチパチパチ。
気付けば漁師の男達以外にもギャラリーが集まり
こちらに向け拍手を送っている。


『あっちに風を操るヤバイ奴が来てる!』
『街の救世主が現れた!!』
地引網を街まで取りに行っていた漁師達が
街でおおいに騒ぎ立てる。

だから街の人々が噂を聞きつけやってきていた。

そこには
ブルーの父。ビスルの姿。
「お前か。噂の少年は。」
ルーホーに近づく頭領ビスル。
「川の氾濫を止めてくれてありがとう。」
街の代表として深々とルーホーに頭を下げるビスル。
「あっ、あっ、はい。」
嵐の夜。あの船に乗っていたブルーの父。
その元気な姿を見てルーホーは
『あの人だ!良かった』と嬉しくなり
恥ずかしさも相まって
返事をしようにも
キョドった反応になってしまう。

ルーホーはビスルと目を合せられず
あちこち視線をそらしていると

ついに人混みの中に発見をする。
「!!」
それは長い髪の空の上から
ずっと眺めていた少女。
「ブルー!!」
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