僕は、空の上から君を見守る
街に着くと、ルーホーはすぐさま行動を始めた。
川の水が流れ込むのは治まったものの
完全に浸水した町。
ひどい所では腰のあたりまで水に浸かっている。
辺りには水没した家から流れ出た
食糧や食器類。 
はたまた椅子や机まで浮いている。
人々が賢明にバケツなどで水を掻き出すものの
その水量で中々作業は進まない。

あと、この土地にはもう一つ問題があった。

海に近い漁港の町。
にも関わらず場所によっては海抜が海より低い場所もあり、
海へ抜けるはずの水が
溜まったままになってしまっているのだ。

ルーホーは浮いている机を引き寄せ
ビスルに指示を出した。
「今からこの浮いてる木材で即席の風車を作る!」


《風車》
風の力で大きな羽を回して力を得る。
現代では風力発電などの発電する力にも応用される。


ルーホーはこの土地特有の風の強さに注目した。
常に一定方向から吹く風。
それを利用して風の力でローラーを回し
水を汲み上げる装置を作る。

ビスルが男達に声をかけ街中から木材を掻き集める。
そうして集めた木材で1本の大きな柱を作り出す。
町の人々にとってルーホーの作るものは
初めて見る不思議なもの。
しかし、その前向きな姿勢と
川の氾濫を止めた行動により、
作業の人数がどんどん増えていき
またたく間に
一本の大きな柱と4枚の大きな羽を作り出す。

さらにコンベアー式の桶と
海へ向かう水路を作り出し。
「よし!完成だ!!」
街中の人々の協力で2日も経たずして風車は完成した。

そうして出来上がった風車は町の大部分の水を
海へ流し、
家の中や細かい部分の水は
手作業で水路へ流し。
2重の除水作業で街はみるみる元の姿を取り戻す。

そして、
全ての水を汲み上げる頃には。
「これで除水、終了だ。」
「わ〜〜〜〜〜!!」
ルーホーは街のヒーローになっていた。



「今日は祝い酒だ〜〜!」
町のバーで祝賀会を開く人々。
その中心はやはりルーホー。

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