赤い雫のワルツ


 最初は吸血鬼相手に逆らえば、家族にも危害が及ぶのではないかと思い、私は首を縦に振った。



 ところがどうだ、私には指一本触れてくることはない。




「何でもいい。とにかく、君の血は飲まない」



「……では、ここに女性を連れてこないで、トマトジュースで我慢するようにしてください」



「君の作ってくれるトマトジュースも確かに上手いが、本物の血には負ける」


「そう言って、変に血を吸って女性にご主人様の記憶が残ったらどうするおつもりですか。面倒事にならないように、私が薬を飲ませて屋敷の外に帰している、その苦労を忘れないで下さいよ」




 そう言いながら、メイド服のポケットに忍ばせていた薬の入った小瓶を女性に飲ませた。


 くっきりと残った歯形も、どうにかこうにか手当を施して、傷を綺麗さっぱり消す。


 ここに来てからというとの、魔女の残した書物やら、魔導書やらが書斎にたくさんあって、そこで変な知識を蓄えてしまったのだ。






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