悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います
一章 どうやら必ず死ぬ悪役令嬢に転生しました
一章 どうやら必ず死ぬ悪役令嬢に転生しました

 がばっ!

 兵士に押さえつけられたところで、私は目を覚ました。

「……夢かぁ。怖かった」

 私は夢だったことに安堵して思わず声を漏らす。
 今見たのは、レティシャ・エル・センテンシアの断罪シーン。
 その世界は、スマホの育成&RPG&恋愛シミュレーション系のゲームのものだった。
 レティシャ、愛称〝レティ〟はヒロインに嫌がらせする悪役令嬢のひとり。
 銀髪のかわいい美少女。
 第二王子ゲオルグの第二婚約者で、ヒロインに数々の無理難題をふっかけるという悪役令嬢。
 しかし最終的にはヒロインの健気さに心打たれ改心する。
 けれど、それを気に食わないと感じた別の悪役令嬢マリエッテにはめられて死ぬという、訳のわからない役どころなのだ。

 びっしょりに汗ばんだ手を見つめ、私は違和感を感じた。
 私の手は本当に小さくて、まるで小さな子どもの手なのだ。
 ベッドから下りて、恐る恐る鏡の前に立つと、そこには見覚えがある少女の姿があった。私はすぐに、六歳のレティになってしまったのだと察した。
 それと同時に、断片的だけれど三歳ぐらいからこれまでのレティの記憶もあるとわかった。

 ……なんでこんなことになったの!?

 普通にスマホゲームをやりつつ寝落ちしたはずなのに、起きたらなぜかゲームの悪役令嬢になってしまっていた。

 なにがなんだかさっぱりわからない。いったいどういうことなのか。

 とりあえず落ち着いて、状況を把握してみよう。
 私は自室で机に向かい合った。
 ペンと紙を手に取り考える。
 お姫様のような豪華な自室に戸惑いながらも、現状わかっていることを書き込んだ。

 まず、名前は……紗良。私は日本人で二十四歳の女。スマホゲームとRPGとWeb小説を愛するオタ女──。

 考えれば考えるほどこの状況の説明がつかない。なにか手がかりはないものかと、机の引き出しを探ってみた。引き出しの中に、豪華な箱に丁寧に入れられた手紙を見つける。

『レティに転生した人へ』という本当のレティからの手紙。

 ──いつも十八歳で死んでは生まれ変わるループを繰り返して、人生に疲れました。
   だからループから脱するために魂入れ替えの禁呪に手を出しました☆
   私のループの記憶と魔術の知識を残していくので、ごめんね! がんばって!──。

 という内容の手紙だった。
 実際はもっと丁寧な謝罪の文と共に書いてあったのだが、内容だけ語ればこうなのである。
 つまるところ、自分が死ぬのが嫌だから魔法を使って日本人の私とレティの魂を入れ替えたよ!
 ごめんねテヘペロ☆と、そういうことなのだろう。

 そうか。私、十八歳になるまでに魔法を使えるようになるのね!? 憧れの魔法だよ。
 幼少期から魔法の修業をして俺tueeee──無敵になれるよ!
 これから知識チートだ!
 やったね☆……って、よくないっ!
 私は頭をかかえて自分のボケに自分で突っ込んだ。
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