そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
「しかも頭を叩こうとするとか――。これ以上この子の脳細胞が死んだらどうしてくれるんだい? 会話が成立しなくなるだろう」


 そこで声のトーンを一気に落として、つぶやくように

「キミも知ってると思うが、今でも時々飛躍して、ほとほと手を焼いてるんだ」

 そう付け足して、頼綱(よりつな)は有無を言わせぬ調子で寛道(ひろみち)に背を向けると「行くよ、花々里(かがり)」って半ば無理矢理私を助手席に押し込めるの。



 えーっと……。
 ちょっと待って?
 せ、整理するね?

 頼綱、前半は私を(かば)ってくれた感じで、すっごぉーくかっこよかったです!

 けど……後半は……いらなくない?

 ねぇ頼綱。
 あなた、私を庇いたいの? けなしたいの?
 どっちなのっ?

 助手席に封じ込められながら、私はそう思わずにはいられなかった。
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