そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***

 なんてことを考えながら歩いていたら。

「おはよう、花々里(かがり)。迷わず来れたとか感心じゃん。――……ってオイ! 無視かよ!」

 いつの間にか寛道(ひろみち)との待ち合わせ場所にたどり着いていた――ばかりか通り過ぎてしまったみたいで、慌てた様子の寛道に腕を掴まれた。

 途端、昨日頼綱(よりつな)に、寛道に掴まれた腕のアザに口付けられたのを思い出した私は
「ダメ!」
 言って、慌てて寛道の手を振り解いた。

 あまりに強く突っぱねてしまって、ハッとして寛道を見たら、ひどく傷付いた顔をされてしまった。

「……ごめん。でも、お願い。不用意に触るのは……やめて?」

 寛道に謝って、彼の顔を見つめたら「分かった。その……こっちこそ悪かったな」って素直に謝り返してくれて。
 私はホッと胸を撫で下ろす。

「あ、そういえば」

 そこでふと容器(タッパー)のこと思い出した私は、カバンの中から綺麗に洗ったそれを取り出して寛道に手渡した。

「ごちそうさま。()()()、大絶賛だったよ。おばさんにも『美味しかったです。ありがとうございました』って伝えてもらえる?」
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