そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜

瓶詰め

 それで私、あの直後意識を失って――。

 気がついたら〝瓶詰め(こんなこと)〟になっていた。


「あーん、私のバカっ」

 小さくつぶやいたら、一緒に詰められている花々にクスクス笑われた気がして。

 花々と花々里(わたし)
 字面が似ているだけにシャレにならない気がしてしまう。


頼綱(よりつな)、心配してるかな」

 いや、それよりも私にお使いを頼んだ八千代さんの方が困っていそうだ。
 私が帰らないと、今夜の夕飯の食材も御神本(みきもと)家に戻らない。


「――を探していらっしゃるのですね? そんな貴方にピッタリの商品がございます」

 と、向こうのほうから久遠(くおん)さんの声がして。

 木枠の中に入れられていたらしい私入りの球形の()()がふわりと持ち上げられた。


 ここに至ってようやく私、事態の重さに気づいたの!

 ひょっとして私、めちゃくちゃ小さくなってない!?

 一緒に瓶詰めされている花たちが、私と同じようにサイズダウンしていたから気づかなかった。

 木枠の中とはいえ、全体が覆い尽くされていたわけじゃない。
 もっとしっかり周り――瓶の外を見回していれば気づけたのかもしれないけれど、グラグラするのが怖くて、私、足元ばかり見ていた。
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