そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
花々里(かがり)、実はさっきの方法にはもう少し続きがあってね、それを言うときっとキミは不安に感じると思うんだけど」

 頼綱(よりつな)にしては歯切れの悪い物言いに、私はにわかに不安になる。

「さっきこの瓶を湯で満たすって言ったよね?」

 頼綱の指が瓶の側面に触れてきて、私は思わずそこへ中から手のひらを重ねるようについて、小さくうなずいた。

「満たしたあとでね、フタを……上の()()()()()()()()()()()()()らしいんだ」

 その言葉に、私は瞳を見開いた。

 フタを……し直す?
 お湯が()()()()の状態で?
 空気のない環境でフタなんて閉められて、私は溺れ死んだりしないんだろうか。
 元の大きさに戻れたとして……その時の私、生き延びているのかな?

 そう考えたら、すごく怖くなった。


 ガラス越し、ヘナヘナとへたり込んだ私を見て、頼綱が言葉を重ねる。


花々里(かがり)が不安なら……俺は無理にやらなくてもいいと思ってる。小さくなってたって花々里は花々里だし、それを理由に俺はキミを手放すつもりはない。ただ――」

 そこまで言ってコツコツ、と小瓶を爪先でノックすると、私が頼綱の顔を見たのを確認してから続けるの。
< 587 / 632 >

この作品をシェア

pagetop