政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
それが悲しかった。
床に落ちた物を片付けていると、お祖父さんがベッドから身を乗り出した。

「何をしている」

「散らかっているので」

「なるほど。死にかけたジジイの世話でも頼まれたか。貧乏クジもいいところだな」

自分で死にかけというあたり、まだまだ元気だと思う。
本当に死にかけている人はそんな風には言えない。

「これから、よろしくお願いします」

「……さっさと出て行け」

他の人達に会った後だから、ぶっきらぼうな言い方にも傷つくことはなかった。
お祖父さんは私のことを嫌いだから、出て行けと言っているわけじゃない。
私がこの家にいても幸せになれないことをわかっていて、出て行けと言ってくれているのだ。
きっと父に言えば、安いアパートを借りるくらいのことはしてくれたかもしれない。
けれど―――

「ありがとうございます」

「なんのお礼だ?おかしな奴だな」

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