政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「失礼します」
まるで職員室に入るような気分でそっと入った。
部屋には車椅子と杖があり、ベッドでは上半身を起こしたお祖父さんが私の方をじっと見つめていた。
病人と言っていたけれど、身だしなみはきちんとしていて、立派な着物姿、白い髪もセットされていて背筋はしゃんとしている。
気むずかしい顔はしているものの、芙由江さんや紗耶香さんのように見下した目ではなかった。
「はじめまして。あの、朱加里です。孫の……」
孫と言ってよかったのだろうか。
気を悪くしないだろうかと思っていると、お祖父さんは感情のない抑揚のない声で私に言った。
「そうか。ここに来ても何も楽しいことはない。さっさと出て行った方が身のためだ」
投げつけたのか、本が床に散らばっていた。
「……もう住むところもありませんから」
「ここよりマシだろう」
自分の家なのにお祖父さんはそんなことを言った。
まるで職員室に入るような気分でそっと入った。
部屋には車椅子と杖があり、ベッドでは上半身を起こしたお祖父さんが私の方をじっと見つめていた。
病人と言っていたけれど、身だしなみはきちんとしていて、立派な着物姿、白い髪もセットされていて背筋はしゃんとしている。
気むずかしい顔はしているものの、芙由江さんや紗耶香さんのように見下した目ではなかった。
「はじめまして。あの、朱加里です。孫の……」
孫と言ってよかったのだろうか。
気を悪くしないだろうかと思っていると、お祖父さんは感情のない抑揚のない声で私に言った。
「そうか。ここに来ても何も楽しいことはない。さっさと出て行った方が身のためだ」
投げつけたのか、本が床に散らばっていた。
「……もう住むところもありませんから」
「ここよりマシだろう」
自分の家なのにお祖父さんはそんなことを言った。