政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
車は大きな洋館の前にとまった。
門に繋がる塀には葉のない棘だらけのつる薔薇の枝が這い、正面には煉瓦造りの洋館が私を迎えた。
薔薇の棘がまるで白河家を守っているように見える。
車から降りると、外は冷たい風が吹きつけて、緊張からか、寒さからなのか、身震(みぶる)いをして門扉の前に立ち尽くした。
私の人生が大きく変わろうとしている。
目の前の壱都さんと共に。
そんな予感がした。

「ようこそ、白河家本邸へ」

善人ではないとわかっているのに微笑みを浮かべ、手を差し伸べた壱都さんの姿はまるで王子様のようだった。


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