政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
一般人でしかない私が身を守る方法なんてわかるわけがない。

「話はまとまりましたね」

樫村さんが満足そうにうなずいた。

「これから、祖父に会うけど、呼び方はどうする?朱加里、それとも奥さん呼びがよかった?」

「どっちって……。奥さんは困ります。まだ結婚していないのに」

「じゃあ、朱加里で」

わかっていて、聞いたとしか思えない。
顔を覗き込まれ、名前を呼ばれると心臓が跳ねた。
わ、わざとなの!?

「祖父には俺が海外支店に転勤前の挨拶に伺った際、朱加里を紹介され、付き合い始めた。それを知っていたのは井垣会長だけ。この機会に結婚しますと言う。はい、解決」

「解決してません!絶対に信じませんよ……」

失礼だけど、壱都さんにそんな純粋さがあるとは思えない。
私でさえ、そう感じるのにいくらなんでも無理がある。

「大丈夫。必要なのは疑問に対する答えだけ。納得できるかどうかだけだ」

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