政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
彼女には言葉ではうまく伝わらない気がして、車のシートの上に置かれた彼女の手に自分の手を重ねた。
白い手が冷たく、まるで雪のようだった。
今は一人ではないとわかってくれたら、それでいいと思った。
手に熱が戻り、ぬくもりを感じた。
窓の外を眺めるふりをして、自分の頬が緩んだのを隠す。
感情を悟られるのは苦手だ。
白河の人間は本当に素直じゃない。
俺も祖父も。
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